第2回:発達を支えるポジショニング|タミータイム・抱っこ・側臥位の実践方法【最新エビデンス】

子育て

シリーズ第2回

第1回では「ポジショニングとは何か」「乳幼児期に重要な理由」について解説しました。

今回は、実際に家庭で取り入れられるポジショニングについて、最新のエビデンスに基づいて紹介します。


発達を支えるポジショニングとは?

赤ちゃんは、生後1年間で重力に適応しながら、

  • 首すわり
  • 寝返り
  • おすわり
  • はいはい
  • つかまり立ち

へと発達していきます。

その過程では**「さまざまな姿勢を経験すること」**が重要です。

一方で、

「この姿勢をとれば運動発達が早くなる」

ということを証明した強いエビデンスはありません。

現時点で科学的に支持されているのは、

  • 覚醒時に多様な姿勢を経験すること
  • 長時間同じ姿勢を避けること
  • 安全を最優先にすること

です。


タミータイム(うつ伏せ遊び)

タミータイムとは?

タミータイムとは、

赤ちゃんが起きていて、大人が見守っている状態で行う「うつ伏せ遊び」

のことです。

睡眠中のうつ伏せ寝とは全く異なります。

AAP(American Academy of Pediatrics)は、

「睡眠は必ず仰向け」「覚醒時には毎日タミータイムを行う」

ことを推奨しています。


タミータイムで期待できること

2020年のシステマティックレビューでは、

タミータイムは

  • 粗大運動発達
  • 頭部コントロール
  • 上肢支持
  • 寝返り
  • はいはい
  • 頭蓋変形(斜頭・短頭)の予防

と関連することが報告されています。

ただし、

「必ず運動発達を促進する」

と断定できるわけではありません。

研究の多くは関連性を示したものであり、個々の赤ちゃんの発達には個人差があります。


時間の目安

WHOでは

1歳未満で移動能力のない乳児は1日30分以上(合計時間)

のタミータイムを推奨していますが、一度に30分行う必要はありません。

例えば

  • 朝5分
  • 昼10分
  • 夕方10分
  • お風呂前5分

のように分けても十分です。


赤ちゃんが嫌がるときは?

多くの赤ちゃんは最初は嫌がります。

その理由として以下のような項目が考えられます。

  • 首の筋力が未熟
  • 慣れていない
  • 疲れやすい

そのため、無理に続ける必要はありません。

理学療法士としておすすめなのは

  • 保護者のお腹の上
  • 胸の上
  • 抱っこの姿勢から少し前傾

など、赤ちゃんが安心できる姿勢から始める方法を検討し、赤ちゃん本人が嫌がらない範囲で実施できるか検討してみるといいと思います。


抱っこも立派なポジショニング

抱っこは単なる移動手段ではありません。

赤ちゃんにとって

  • 前庭覚
  • 固有感覚
  • 触覚

など多くの感覚入力が得られる大切な時間です。

また、

抱っこでは自然に

  • 首を動かす
  • 周囲を見る
  • バランスを取る

経験が増えます。

これらは姿勢制御の学習につながる可能性があります。

ただし、

「抱っこだけで運動発達が促進される」

という強いエビデンスは現在ありません。

そのため、

抱っこだけでなく

  • 床で遊ぶ時間
  • タミータイム

も組み合わせることが推奨されます。


抱っこのポイント

おすすめなのは

  • 左右交互に抱く
  • 景色が見えるようにする
  • 長時間同じ向きにしない

ことです。

これにより

頭部への圧力も分散できます。


側臥位(横向き)の活用

横向き姿勢(側臥位)は

乳児が

  • 両手を合わせる
  • おもちゃを見る
  • 寝返りへつながる動きを経験する

ための姿勢として利用されます。

小児理学療法でもよく用いられます。


エビデンスは?

ここで重要なのは、

健常乳児において側臥位単独で運動発達を促進する十分なエビデンスはありません。

一方、

NICUや発達支援では

個々の状態に応じて

  • 呼吸
  • 筋緊張
  • 快適性

を考慮して側臥位が利用されています。

つまり、

側臥位は

発達を促す「万能な姿勢」ではなく、多様な姿勢経験の一つ

として考えるのが現在のエビデンスに沿った理解です。


月齢別おすすめポジショニング

月齢おすすめ
新生児仰向け寝・抱っこ
3〜4か月側臥位遊び・寝返り準備
5〜6か月寝返り後はいろいろな姿勢で遊ぶ
7か月以降はいはい・座位・自由な移動を十分経験する

大切なのは、

「月齢どおり」ではなく、赤ちゃん自身の発達に合わせることです。


理学療法士からのワンポイントアドバイス

外来でよくいただく相談に、

「うつ伏せは嫌がるのでやらない方がいいですか?」

というものがあります。

嫌がるからといって中止する必要はなく、1〜2分でも十分です。しかし無きながら実施すると余計に嫌がる、嫌いになる可能性があります。

保護者と目を合わせたり、歌を歌ったり、おもちゃを使ったりして、「楽しい時間」として少しずつ慣れていくことが継続のポイントです。


第3回予告

次回は、多くの保護者が気になる

  • 長時間同じ姿勢のリスク
  • 頭の形(斜頭・短頭)
  • ベビーチェアやバウンサーの使い方
  • 睡眠時の安全な姿勢(SIDS予防)
  • 「やってはいけないポジショニング」

について、最新のエビデンスをもとに詳しく解説します。


参考文献

  1. Hewitt L, et al. Tummy Time and Infant Health Outcomes: A Systematic Review. Pediatrics. 2020.
  2. Rodger J, et al. Exploring the use of tummy time guidelines to improve infant health. Journal of Neonatal Nursing. 2025.
  3. NIH Safe to Sleep Campaign. Benefits of Tummy Time.
  4. Williams E. Another look at tummy time for primary plagiocephaly prevention. Journal of Paediatrics and Child Health. 2023.
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