乳幼児の歩行器:その効果と使用時の注意点

子育て

はじめに

乳幼児の成長をサポートするために、歩行器を使用されているものの一つに歩行器があります。赤ちゃんが歩行器に乗って立つ・歩く姿は本当に愛らしく、赤ちゃん自身も喜ぶことが多いので利用頻度は多いかもしれません。さらにご両親にとっては「歩行器に乗っていればこけたり、台によじ登って落ちる」などの心配も少なくなる…といった安心感を得るために歩行器を使用した経験がある方もいるのではないでしょうか?

しかし、歩行器の使用には効果だけでなく注意点も多く存在します。本記事では、乳幼児の歩行器の効果と注意点について、エビデンスに基づいて詳しく解説します。

歩行器の効果

筋力強化と運動能力の発達

まず最初に、歩行器を使用することで、乳幼児は脚の筋力を強化し、運動能力を向上させることが期待されます。

歩行器に乗るとおしりで体重を支えていますが、両脚をつっぱったり脚を動かして前進するため、両足をつっぱる/体重を支えるための筋肉を使う頻度が増え、自然と筋力が鍛えられる可能性があります。

つかまり立ちなど、自分の脚の力だけでは体重を支えきらない時期でも、歩行器であればつかまり立ちほどの筋力は必要ないので比較的早期から使い始めることが可能です。

自己効力感の向上

歩行器を使うことで、乳幼児は自分で移動できるという経験を積み重ねることができ、移動することへの自信を持つことで自己効力感が向上します。これは、探索行動を促進し、周囲の環境に対する興味を引き出すきっかけとなる可能性があります【1】【2】。

子どもの好奇心・周囲の環境に関する興味は、運動発達・精神発達には欠かせない要素であり、自己効力感の向上は、発達や成長においてとても重要になると思われます。

親の手助け

歩行器を使うことで、親は一時的に手を離して他の家事や仕事を行うことができるかもしれません。つかまり立ちや台によじ登ることを覚え始めた時期は頭をぶつけたり、転落して大きな怪我をしないようになかなか目を離せなくなってきます。

そのため歩行器を使うことで、短時間であっても家事や仕事の時間を確保することはご両親の負担を軽減する大きな手助けになる可能性があります。

歩行器使用時の注意点

安全性のリスク

歩行器は、階段や不均一な床面での転倒、家具やその他の障害物にぶつかる危険性があります。これは乳幼児に重大な怪我を引き起こす可能性があります【3】。

また歩行器には安全ベルトがついていることが多いですが、歩行器からの転落事故の報告があります。一時期、歩行器からの転落事故が強く問題視されていることもありました。歩行器すべてが悪いわけではなく、安全への配慮(安全ベルトの仕様など)・歩行器使用中はご両親が目の届く範囲にするなどの配慮は必ず必要です。

歩行の遅れ

一部の研究では、歩行器の過剰な使用が乳幼児の歩行発達を遅らせる可能性があることが示されています。歩行器に依存することで、自ら歩くための筋力やバランス感覚の発達が遅れる可能性があります【4】。

ただし歩行器を使用することで必ず歩き始めの時期が遅れるわけではなく、歩行器を使うだけでなく、つかまり立ちや手引きで立つ・歩くなどいろんな刺激や経験を積み重ねてあげることが大事になってきます。立つ・歩くの経験を歩行器のみに依存させることは避けた方がいいと思われます。

正しい使用方法の理解

歩行器を安全に使用するためには、常に監視し、適切な環境で使用することが重要です。

歩行器を使う際には、階段や傾斜のある場所、鋭利な角のある家具など、危険な場所を避けるようにしましょう。

専門家の意見と推奨

多くの小児科医や育児専門家は、歩行器の使用を慎重に検討するように推奨しています。

歩行器を使用する場合は、短時間に留め、乳幼児の発達を観察しながら使うことが重要です。また、乳幼児の自然な歩行発達を促すために、フロアプレイや他の運動遊びを積極的に取り入れることが推奨されています【5】【6】。

まとめ

乳幼児の歩行器は、筋力強化や自己効力感の向上などの効果が期待されますが、安全性のリスクや歩行発達の遅れといった注意点も存在します。

歩行器を使用する際には、常に監視し、適切な環境で短時間使用することが大切です。専門家の意見を参考にしながら、乳幼児の成長をサポートする最適な方法を選びましょう。

参考文献

  1. American Academy of Pediatrics (AAP). “Baby Walkers: A Dangerous Choice”. AAP Website
  2. Smith, L. B., & Gasser, M. (2005). “The Development of Embodied Cognition: Six Lessons from Babies”. Artificial Life.
  3. Garlinghouse, L. E. (2009). “Baby Walkers: Safety Concerns and Alternatives”. Pediatrics.
  4. Siegel, S. (1999). “Delayed Development in Children Using Baby Walkers”. Journal of Developmental & Behavioral Pediatrics.
  5. Canadian Paediatric Society. “Baby Walkers: Are They Safe?”. CPS Website
  6. Mayo Clinic. “Baby Walkers: The Controversy”. Mayo Clinic Website
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