はじめに
赤ちゃんが生まれてから最初の1年間は、さまざまな成長と発達が見られます。その中でも「シャフリングベビー」と呼ばれる独特な移動方法があります。
以前は「いざりっ子」などと呼ばれることも多かったようですが、子育てしている方でも知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、シャフリングベビーの特徴、原因、対策について詳しく解説します。
シャフリングとは?
シャフリングベビーとは?
シャフリングベビーとは、通常のハイハイをせずに、お尻を使って地面を滑るように移動する赤ちゃんを指します。この移動方法は一般的に「シャフリング」と呼ばれ、そのためこのように移動する赤ちゃんを「シャフリングベビー」と言います。
シャッフラー(Shuffler)とも呼ばれることがありますが、どちらも乳児期の後半になってもハイハイをせず、座った姿勢のままお尻を左右に振りながら移動する赤ちゃんのことを指します。
※「シャフリング」の語源:「足を引きずって歩く」という意味の英語“shuffle”
特徴
- 移動方法: 足を前に出して座り、お尻を地面に擦りながら前進する。
- 動きのパターン: 両手で床を押すようにして、足を引き寄せる。
- 年齢: 生後9ヶ月から18ヶ月の間に見られることが多い。
“おすわり”の姿勢のままでおしり(骨盤)を左右に振りながら動いて”移動”を獲得します。
シャフリングベビーのお子さんは「うつ伏せ姿勢」を嫌がることがあり、その影響でずり這いやハイハイの獲得が遅くなる、もしくは未経験のまま「つかまり立ち」を獲得していくことがあります。
そのためつかまり立ち~手放しで歩けるようになるまで、1歳半~2歳までかかる場合があります。
私が勤務する病院でも、9〜10ヶ月検診で「ハイハイ」しないことを指摘されて病院を受診をすすめられました…と来院され、運動発達の評価をするとシャフリングで移動を獲得していたお子さんが一定数いらっしゃいます。
原因
筋力の発達:足の筋力がまだ十分に発達していない場合。
個性:赤ちゃんの個性や好みによるもの。
家庭環境:家の床の質感や広さなどの環境要因。
シャフリング自体は病的なものではないと言われています。
医学的にも「個性的ではあるが異常ではない」とされています。
一方、「個性」だけでなく神経の病気や何らかの障害が原因である可能性もあります。
そのため、いざり這い(シャフリング)以外にも「ミルクの飲みが悪い」や「首座りが遅い」など何か気になる症状が他にもある場合は、早めに医療機関に相談してもいいかもしれません。
運動発達(今後の発達)への影響
うつ伏せやハイハイの獲得が遅れる、もしくは未経験のまま立つ/歩くようになる場合、体幹やお尻周りの筋力がつくのに時間がかかり、歩き始めるのが1歳半~2歳前後とゆっくりになる場合があります。
対策とサポート
シャフリングベビーであること自体は問題ではありませんが、適切なサポートが必要な場合もあります。以下の対策を試してみましょう
遊びを通じた筋力強化
赤ちゃんが興味を持つおもちゃを使って、手足を動かす遊びを取り入れます。
ハイハイを促すための障害物コースを作る。
定期的なチェック
定期健診で小児科医に相談し、発達の遅れがないか確認します。
環境の調整
赤ちゃんが移動しやすいように、滑りにくいマットやカーペットを敷く。
安全な遊び場を提供する。
もしシャフリングベビーかな?と思ったら
もし、ご自身のお子さんがシャフリングベビーかも?と不安に思われたら、身体的特性(低緊張などの)の素因があるのかなどを含めて、専門家に相談することをおすすめします。
ご両親やおひとりだけで悩むより、行政や専門の医療機関で相談いただくほうがいいかもしれません。
まとめ
シャフリングベビーは珍しい移動方法ですが、特別な懸念がなければ自然と歩き始めることが多いです。親としては、赤ちゃんの個性を尊重しながら、適切なサポートを提供することが大切です。疑問や心配がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。