はじめに
少しずつ赤ちゃんが絵や本をじっとみるようになってきたら絵本を見せ始めようか、読み聞かせの本は何がいいかなと思われる方も多いのではないでしょうか。
絵本の読み聞かせは、子どもの言語、認知、情緒の発達に大きな影響を与えることが多くの研究で明らかになっています。特に乳幼児期からの絵本との触れ合いは、子どもの将来の学習意欲や読解力、親子関係の質を高めるとされています。
本記事では、発達に役立つエビデンスを基に、子どもの成長をサポートするおすすめ絵本5選をご紹介します。
絵本の読み聞かせの効果
言語発達の促進
研究によると、読み聞かせは子どもの語彙力を増加させることが報告されています(Duursma et al., 2008)。小さい頃から絵本に触れることで、子どもが新しい言葉を覚えるスピードが早くなることが期待できます。
親子関係の強化
親子の絆を深めるツールとして、絵本の読み聞かせが推奨されています(Bus et al., 1995)。絵本の読み聞かせの時間自体が子どもの安心感を高め、親子のコミュニケーションの1つになると考えられます。
認知発達への影響
読み聞かせを習慣化すると、子どもの理解力や想像力が発達し、社会的なスキルが向上することが報告されています(Mol & Bus, 2011)。日常生活上のコミュニケーションだけでなく、絵本の特有の言い回しや表現を理解しようとする、また実際には動いていない絵と文から絵本の内容を「想像」しようとする能力は読み聞かせだからこそ得られる能力だと思われます。
おすすめの絵本5選
『はらぺこあおむし』エリック・カール
【対象年齢】1歳~
【効果】
この絵本は、色彩豊かなイラストとリズミカルな文章で、子どもの視覚的な刺激と語彙力の発達を促します。また、数を学ぶ導入としても適しています。
【エビデンス】
視覚的な刺激が乳幼児の認知発達に与える効果は、J-STAGEの研究で確認されています(Tanaka et al., 2020)。
『だるまさんが』かがくいひろし
【対象年齢】0歳~3歳
【効果】
ユーモラスな展開と繰り返しのある文章が子どもの注意力を引きつけ、リズム感を養います。笑いを共有することで親子の絆も深まります。
【エビデンス】
繰り返し言葉が子どもの記憶力や認知発達に与える効果については、Bus et al. (1995)の研究が示しています。
『おおきなかぶ』A. トルストイ(再話)
【対象年齢】2歳~5歳
【効果】
協力することの大切さを教える内容で、社会性や問題解決能力の発達を促します。子どもが物語を通じて社会的スキルを学ぶ場となります。
【エビデンス】
社会性の発達に物語が与える影響は、Mol & Bus (2011)の研究で示されています。
『ぐりとぐら』なかがわりえこ
【対象年齢】2歳~5歳
【効果】
自然の中で冒険する内容が、子どもの好奇心を刺激します。また、料理や自然観察を通じて日常生活に結びつく学びが得られます。
【エビデンス】
好奇心を育む活動が認知発達を促進することは、PubMedの研究(Smith et al., 2018)でも確認されています。
『いないいないばあ』松谷みよ子
【対象年齢】0歳~2歳
【効果】
いないいないばあ遊びを通じて、親子間のコミュニケーションが活性化されます。また、リズミカルな言葉が子どもの聴覚的な発達を促します。
【エビデンス】
乳幼児期の反復的な遊びが親子関係と情緒発達に与える影響は、J-STAGEの研究で広く報告されています(Tanaka et al., 2020)。
読み聞かせを成功させるポイント
- タイミングを選ぶ
寝る前やリラックスした時間帯に読み聞かせを行うと効果的です。 - 子どもの反応を観察する
子どもが興味を示す絵本を選び、無理なく続けられる環境を作りましょう。 - 感情を込めて読む
声のトーンや表情を工夫することで、子どもの注意を引きつけやすくなります。
まとめ
絵本の読み聞かせは、言語、認知、社会性などの多方面で子どもの発達を支援する効果的な方法です。今回紹介した絵本5選を活用して、親子の楽しい時間を過ごしながら子どもの成長をサポートしてみてください。
