子育てでは少しずつお子さんの成長を楽しみにされていると思います。徐々に大きくなるにしたがって「ことば」が増えてきたり、こちらからの声掛けに対して受け答えをしてくれるようになってくると、更にかわいく感じられるのではないでしょうか。そんな中、お子さんとのコミュニケーションに「あれ?」と疑問に思うことがあるかもしれません。
そんな時に「発達障害」や「自閉症」といった言葉が浮かぶ方もいると思います。昔より一般的に知られるようになってきた「発達障害」や「自閉症」といった名称も、どんな症状なのか?どれくらいの頻度で診断がついているのかなどは知らない方が多いのではないでしょうか。
そこで、今回は「自閉症(正式には自閉スペクトラム症)」について紹介していきたいと思います。この記事を読んで、「もしかして」と感じられた方は、一人で悩まずに専門の医療機関や行政に相談されることをお勧めします。
概要
自閉スペクトラム症は、「自閉症」、「広汎性発達障害」、「アスペルガー症候群」などの名称で知られていましたが、診断基準DSM-5の発表以降、自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)として表現するようになりました。
ASDとは、「社会的なコミュニケーションの難しさ」、「空間・人・行動に対するこだわり」などの特性がみられる発達障害のひとつです。
症状には一定の幅(スペクトラム)をもっていると考えられており、その障害像は種類や重症度において非常に多彩であることが特徴です。どのような特性がどの程度強く現れるかは、個人によって異なります。
主な症状
自閉スペクトラム症の症状は大きく2種類に分類されます。
①社会的コミュニケーションの障害
✔他者との適切な距離感がわからない
✔会話がうまくかみ合わない
✔冗談が理解できない
✔暗黙のルールを理解できない
✔表情や話し方から他者の感情を読み取ることが苦手
✔周りと合わせることが苦手
✔興味や感情の共有が難しい
②限局的反復的な行動パターン
✔没頭するとまわりが見えなくなる
✔物事の順序(手順)に強いこだわりがある
✔些細なことが気になり作業が進まない
✔音、光、においなどの感覚に対して敏感
統計
発症頻度:人口の2.5%~5%(20〜40人に1人の割合)
男女比:4:1と男性に多い
原因
遺伝的要因が複雑に絡み合って起こる脳の機能障害です。
自閉スペクトラム症の要因となる遺伝子の解明なども少しずつ進んでいるようです。まだ完全に特定されたわけではありませんが、自閉スペクトラム症の要因は生まれつきであり、胎内環境や周産期のトラブルなども要因の一つと言われています。
決してご両親の育て方や環境が原因となることはないと考えられています。
合併症
知的障害
自閉スペクトラム症は知的能力障害とは異なりますが、自閉スペクトラム症の方には知的能力障害がみられることが多いです。
知的能力低下は自閉スペクトラム症の約半数前後にみられるといわれています。
まとめ
□自閉スペクトラム症は発達障害の一種である。
□主な症状は「社会的コミュニケーションの障害」、「限局的反復的な行動パターン」である。
□発症要因はまだ完全には解明されていないが、うまれつきの要因であり育て方などの影響ではない。
別記事で自閉スペクトラム症児の治療・リハビリについてもまとめます。